2007年06月14日

大胆不敵!恐るべき同業者闖入す、の巻

 一昨日(6/11)のお話。

 撮っておいたF1中継を、既に見ていたにも関わらず、モニターで流しながら遅めの昼食を摂っていると、スーツ姿の痩身の男性が開け放たれた扉からこちらを覗く。
「…あの、よろしいですか?」
 モニターから流れる場違いなブースト音とタチの悪そうに食事を頬張る先客を覗きつつ、気後れする事なく男は問い掛ける。

 五十路を越えた頃の女店主は、ランチタイムが終わり、準備中である旨を告げに入り口に向かう。
 男は、店主を見るや否や、自らの緊張感を打ち消すかの様に矢継ぎ早に切り出す。
「私はこの近くでお仕事をさせて頂いております○○○と云う会社の○○と申します。地域の皆様に支えられたおかげで此処迄やって参りました。つきましては地域の皆様に感謝の意を込めて…」

 セールスマンか…急速に興味を失いつつ、俺はモニターに映るフォーミュラカーに魅せられながら、食事を口に運ぶ。

「どんなご用件です?」と店主。
「はい、私達はこの地域のお店や会社様の為にホームページを制作して…」

 !?…俺は僅かに息を潜め、男に視線を送る。

 エゴイスティックなリズムで自らを語る男の語り口は早め。店主は僅かに疲れた表情を浮かべ、熱っぽく話す男には分からない程小さく溜息。

「ウチはいらないよ」
 自らのテンポを台無しにされた男が俺に視線を移す。
「ウチ、ホームページ屋なのよ。だから、いいって」

 状況を把握出来ないでいる男。キャパの小さなダイニングバーで、ランチタイム終わりに居座るチンピラの様な恰好の俺の科白に、思考回路がついて行かない様子。
 一瞬の判断に迷った男は、実に陳腐な反応を見せる。そう、聞かなかった態。
「…当社ではSEO対策を得意としておりまして、YahooやGoogleでの検索結果で…」

いや、いいって!俺、ホームページ屋なのよ。お宅に頼む事はないって

 俺の言に、否、そもそも俺には興味もくれず、男は先にも増して口調を早め、名刺とプリントアウトしたキャンペーン刷りのコピーを一枚残し、立ち去った。静かに、しかし、足早に。

 心地よい程鈍い男の感覚に軽い目眩を覚えた、暮れるにはまだ早い、そんな昼下がりの、奇妙な出来事…


 自社ビルの中での出来事です。

 ダイニングバーは、私の両親の営む店。
 お客様で混み合ってしまうランチタイムをずらし、暫しの休憩時間中に昼食を摂りに行きました。
 店主と云うのは、母。夜用の仕込みをする母と日曜日に撮ったF1を見ながら食事をしていた私が、半ば無駄な解説をしながら話していた時に、そのセールスマンはやって来ました。


 驚きました!
 何に、ってそのお粗末振りに、です。

 やって来たのがウチの自社ビルであった事を知らなかったのは良し、としましょう。
 私も、彼の勤める目と鼻の先にあるであろう、その会社を知りませんでした。

 しかし、飛び込みをする予定であったにも関わらず、下調べをしない彼の危うさと、何より、同業者である事を明かしても挨拶もなし。それ処か無反応。
 剰え、短い営業トークを早口で遣り切って、やはり、挨拶なく立ち去る。

 こいつ、仕事が出来る出来ない以前に、社会人なのでしょうか?


 しかも、営業内容で特出すべき点が“SEO対策”とは?

 オフィス街にあるビルの5階、こぢんまりとしたダイニングバーを見て、また、若そうに見えるとは云え、ある程度の年齢の、しかも、女性に対し話すセールストークの肝が、全く意味不明なアルファベット三文字(SEO)とは、一体、どう云う感性の持ち主なのでしょう?

 低脳にも程があります。
 これだから、都内のマーケターやコンサルに、千葉には頼りになる処が他にない、と一喝されてしまうのですよ?


 遠方からのお客様を収容するキャパがなく、地域環境に根差したお店のホームページを手掛けるようとするのであれば、SEO対策、なんて言葉は出てこない筈です。
 千葉ですよ?中心地として栄えているとは云え、新幹線も通っていない海に囲まれた半島ですよ?北海道や沖縄のユーザーに認知されても、来ないでしょう、千葉のオフィス街には?
 無理矢理提案したいのであれば、お店の雰囲気をより良く見せる為、また、女性店主のお店と云う柔らかなイメージを伝える為の美しいデザイン性に拘ったサイトプランの方が、よっぽどSEO等よりもリアリティがあります。
 クライアントにとって、最も適切で効果の望めるであろうホームページをご提案する、それが我々です。
 Web屋さんの常識(←?)を押し付けないで下さい。況して、訪れて5分足らずでいきなりアルファベット三文字…どう考えてもおかしいでしょう?


 それに、こちらが同業者と明かしているのです。
 普通、情報交換がてらに挨拶、若しくは、これを機に何かしらの協調性の提案が出来ないものか模索する、とかしませんか?

 SEO対策を得意とする、と嘯くのであれば知っていますよね?
 検索エンジンのアルゴリズムは、関連付けの深いページからのリンクバックを重要視する、と。

 貴方は、検索エンジンのアルゴリズムよりも機転が利かないのですか?


 これが、営業畑の方なら未だ再考の余地があります。
 しかし、名刺を見る限り、制作企画室の責任者っぽいじゃないですか?

 もっしも〜し、大丈夫ですか〜?

 何なら、ウチがコンサルしましょ〜か?何なら制作も引っくるめて??


 すみません。文面が偉そうになってしまって、不快に思われる方も多いかと存じます。
 この記事を書く為に思い出していたら、また、腹が立ってきてしまいました。大人気なくて、誠に申し訳御座いませんでした。


 それにしても、瞬時にその状況を把握し、クライアントにとって最適な環境を提案し、且つ、会社自体の中長期的なメリットを鑑みた上で、最善ではないにしろ良好な関係性を築き上げるぐらいの判断が、何故、出来ないのでしょう?

 パソコンを覗くのも結構な事ですが、まずは目の前にいる生身の人間をしっかり見て下さい。
 人を理解するのは、プログラムを理解するのよりも遙かに難しいですよ?

 貴方が作るものが、ホームページであってもシステムであっても関係ありません。それを見て使って判断するのは、やはり、人なのですから。


 自身の携わるWebと云うものが、ユーザーと云う生身の人間に対して、クライアント様の代わりに代弁する、若しくはそれにご協力させて頂くのです。
 もっと、勉強しましょう。Webの事もそうですが、人について深く、思慮深い考察に努力して下さい。


posted by EINS at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | この記事をはてなブックマークに登録 | この記事をYahoo!ブックマークに登録 | この記事をBuzzurlに登録 | この記事をニフティクリップに登録 | この記事をlivedoorクリップに登録 | この記事をdel.icio.usに登録 | トピックイットに投稿する
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