2010年07月12日

SEOとは、能動的に最適化を図る手法であり、無意識な結果論を指す語ではない:2chコピペブログのトラフィックはSEO対策の齎すものに非ず

 この様な記事を見付けました。

2chコピペブログがSEOに強い7つの理由

 2chコピペブログがSEO的に優位である、とした上での考察、そう云った感じのエントリーです。
 と云うより、本来は“ネタ”エントリー、云わば、リンクベイティングな記事なので、特別深い意味はないのでしょう。
 ブログの著者も、そうTwitterでツイートしておりました。

 しかし、2chコピペブログ、と云うキャッチーなタイトル故に、はてなブックマークやTwitterでも、これを真に受けてしまっている方が多い様です。
 こう云った勘違いをされてしまう方が現れてしまう事に僅かな苛立ちを覚えつつ、本日の記事を書いて行きます。

 始めに申し上げておきます。

 2chコピペブログのトラフィック獲得法は、SEO対策のお手本には成り得ません!

 そもそも、本記事において紹介されている理由は、SEOと云う語すら当て嵌まりません。





 「2chコピペブログがSEOに強い7つの理由」と云うエントリー、釣り記事としては充分、楽しく拝見致しました、あくまでも個人的にですが。

 しかし、ちょっと驚いたのは、はてなブックマークやツイッターユーザーの一部が、思いの外、本記事を読んで得心してしまっている事実です。

 考察、乃至は、ネタ記事としては充分なのですが、内容と照らし合わせる限り、タイトルは釣り気味であり、記事本文から解釈するにおいて「2chコピペブログがそこそこトラフィックを獲得出来る7つの理由」とした方が、よりすんなりと納得出来る筈です。
 SEOに強い、としたSEO的見地から記述されている為、勘違いしてしまった読者が現れた、と考えられます。


 まず、基本的なお話。

 SEO検索エンジン最適化:Search Engine Optimization)とは、狭義には、検索エンジンの検索結果ページにおいて、より上位に表示させる手法や技術を指す語であり、広義には、成約数を増やす為に検索エンジンからのトラフィック増大を目指してWebページの最適化を図る様々な技法や知識を指す語です。

 これを噛み砕いて説明しますと、SEOと云うものは、検索エンジンからのアクセスを意識し、検索エンジンに対して上位表示、乃至はトラフィックを招き入れる為の技術や手法を施して、始めて、SEOと呼べるのです。
 つまり、SEOとは、特定サイトを検索エンジンに対して最適化を図る術を処方する、と云う能動的な意志(SEO対策)がなくてはSEOとは呼べず、受動的、乃至は、結果的に検索エンジンからトラフィックを獲得出来ている事はSEOとは呼べません。

 何故、結果論からSEOと呼べないのか?或いは、呼ぶべきではないのか?

 答えは簡単です。
 能動的に検索エンジンへの対策を実施していないサイトの場合、SEO対策を講じる手法や技術がまだ残されており、これを施せば、より多くのトラフィックを招き入れる事が出来るからです。

 上記を考慮すれば、自ずと2chコピペブログにおいても、SEO対策がなされているブログとそうでないブログとが存在する訳であり、前者と後者とではトラフィックにおいて、大きな隔たりが存在している筈です。

 SEO対策とは、そう云うものです。

 また、本記事で記載されている7つの理由ですが、SEO的見地とは云えません。

◎本記事で取り上げていた7つの理由

1.語彙が無限大
 語彙が豊富であるが故に、各々がロングテールキーワードに繋がる、とあります。
 考え方的には、確かに“正しい”のですが、2chコピペブログでは該当しません。
 何故なら、コピペであるが故に、検索ワードを狙い打つ事が困難な為です。

 バラエティに富むとは云え、各々の語彙が緩慢に配置されていれば、検索エンジンのアルゴリズム的に、各々の語と該当ページとの関連性は乏しい、と判断し、同キーワードにおける重要度は低質、と分類される可能性が高くなります。
 個々人の語彙に依存する為、同一ページ内で同義の言葉が複数存在する事を意味し、特定語彙において、検索結果に反映する為のポピュラリティは低下します。
 本来、各々のWebページ上において、同義の語彙は、特定の1つに絞った方が、1ワード当たりの重要度は増し、その絞った語彙がより多くの検索数を示していればトラフィック量は増えます。
 勿論、絞ったキーワードとロングテールにおけるキーワードとにおいて、相対的にどちらがより多くのアクセスを生むか計測する必要があり、この精査が問われます。

 更に、成約、即ち、マネタイズを考慮するブログであった場合、2ch独特の用語や言い回しから誘導したユーザーを成果に結び付けるにはハードルが高く、単にCVRの低下を招く(トラフィックのみ増大)だけかも知れません。

 自由に校正し、特定キーワードを増やしたり、絞ったり出来る方が遙かにSEO的には有利であり、2chコピペブログがSEOに強い理由とは、寧ろ考え難い、と云えます。

2.コンテンツが無数にある
 記事元となる2ちゃんねるには、コンテンツが無数にあり、2chコピペブログの記事としてネタに困る事がない。この為、記事に困る事がなく、その面白さ故にアクセスが集まり、延いてはバックリンク獲得に繋がる、とあります。
 これに関しても、“正しい”です。
 しかし、この内容、2chコピペブログに限った事ではありません。

 要は、ここでの解説は、ユーザーを訴求し得るに足るコンテンツを用意しておけば、リンケラティを獲得出来る、と云う旨の趣旨ですから、実に論理的ではあります。
 しかし、落とし穴があります。
 コピペブログですから、コンテンツとなる元記事があり、その元記事から更に別のコピペブログがある訳です。
 等しく同じ元記事からコンテンツをミラーするのであれば、どの様なまとめの仕方をするか、と云う、各々のコピペブログにおける表現法や校正がある訳です。
 この場合、同じコピペブログにおいても、コンテンツの品質が上下する事を意味しています。

 これが何を意味するかと云いますと、コンテンツの善し悪しとは、どこ迄行っても、書き手(コピペブログ運営者)に依存する、と云う事です。
 となると、2ちゃんねるにコンテンツが無数にあっても、コピペブログがこれを活かしきれなければ意味がなく、2chコピペブログとして考慮した時、2ちゃんねるユーザー、若しくは、2chコピペブログユーザーと云うターゲットに対してのアプローチを意味しており、SEOを意識したバックリンク獲得の為のリンケラティ集め、と云うよりは、既存ユーザーからのアクセスやリンクを主としたターゲティングに過ぎない、と云う事です。

 SEOが特定の検索ワードをターゲットとするのに対し、ここでのターゲットは、コンテンツとなる元記事に興味を示す2ch系ユーザーを指し、同じくリンケラティ獲得を目指してはいても、根本的に目的が違います。
 ユーザーが多いとは云え、ターゲットを限定している訳ですから、その分母に限りはあり、獲得し得るバックリンク数も2chコピペブログと云うジャンルにおいて、必ず飽和します。
 従って、SEOに強いのではなく、ある程度のユーザーを容易に獲得出来るだけ、と云う事になります。

3.ジャンルが膨大
 ここでの説明は、単に2ちゃんねるのコンテンツの幅を評価しているに過ぎません。
 ジャンルが多いので使い分け可能、とありますが、SEOを意識するのであれば、本来、1コンテンツ、即ち、1ジャンルに限定した方が良い訳であり、元記事となる2ちゃんねるが、如何にバラエティに富んでいても、選択し得るジャンルは限定される筈です。
 従って、SEOに強い理由には該当しません。

4.「dat落ち」がない
 dat落ち、要は、ブラウザから閲覧出来なくなったスレッドの状態を意味します。
 ここでは、dat落ちしたスレッドへのアクセス需要が検索エンジンから供給(補填)される、とあります。

 これは、単にアクセスが流れて来ただけであり、SEOではありません(欲する情報を閲覧出来なかった、或いは、なかった為に来訪しただけです)。
 dat落ちした事により流入したアクセスは、謂わば、コピペ記事が一時的にオリジナル化した様なもの(ミラー)に過ぎません。
 そもそも、オリジナル記事であれば、常にそれは一族一種な訳ですから、コンテンツ需要が高ければ、オリジナルに集まる、と云う意味の裏返しと云えます。
 即ち、SEOに強いのではなく、2ch系既存ユーザーを誘い込む事に他なりません。

5.ターゲット(見込み客 )が多い
 ここでも2ちゃんねる、及び、2ちゃんねるまとめブログのユーザー数の多さ、を説いています。
 ターゲットが多いからアクセスが増え、被リンクが増える可能性がある、と云う趣旨の説明をしております。
 これはSEOではなく、ちょっとしたマーケティング的見知からの意見です。

6.著作権違反を気にしない
 モラル面から他では取り上げられ難い記事や画像でリンクベイティングが可能である、と云う趣旨。
 違法を是認する限りでは、何も2chコピペブログである必要性はありません。
 所謂、違法アダルト、知的財産侵害サイト等、アングラサイトと大差なくなります。
 最早、SEOとは無縁の、単なる検索需要に言及しているだけに過ぎません。

7.相互リンク、相互RSSの文化
 ここに来て、始めて、SEO的に多少なり、効果の求め得るであろう事由が記載されています。
 但し、これが2chコピペブログの文化なのかどうかは分かりません。
 何故なら、アダルトブログ系の方が、より相互リンク、相互RSSを密に実行しているからです。
 しかも、アダルト系サイトの相互リンクや相互RSSは、SEO対策を意識したものではなく、クロスリンクそのものが生む実トラフィックを重視しており、SEO的な恩恵は、副次的な目的に過ぎません。

 2chコピペブロガーに尋ねた訳ではありませんから、真意は分かりませんが、恐らく、まとめブログ同士のクロスリンクやRSS共有は、SEOよりも純粋なアクセスそのものを目的としているのではないでしょうか?
 検索エンジンでの上位表示は、結果的に上位表示すれば良い、そんな処だと思います。


 上記の理由を鑑みると、たった1つだけの真意(2chコピペブログのトラフィック獲得術)が見えて来ます。

 それは、「2ちゃんねると2ちゃんねるまとめブログのユーザーは多く、それなりに検索エンジンから来訪する」と云う事実です。
 つまり、ターゲット層が多いので検索エンジンからのトラフィックが充分望める、事の理由付けでしかなく、SEOとは無縁な内容のみが記載されている訳です。

 これは、SEO的見地からの考察ではなく、僅かながらマーケティング的見地からの考察、に他ならず、しかし、その大前提となるプランニングに触れていない、と云う事実があります。

 要は、セグメンテーション、ポジショニング、ターゲティングから考察するにおいて然るべきプランニング、潜在ユーザーが豊富であろうと推測される箇所においてコンテンツ作りに事欠かない媒体、として2chコピペブログが存在している、と云う事実が明示されていないのです。

 より単純明快に云うのであれば、2ちゃんねるまとめブログを作れば、ある程度のユーザーが見込める、と云う点です。

 残念ながら、2chコピペブログがSEO的に強い、と云う事由は述べられておらず、また、私が知る限りにおいて、2chコピペブログがSEO的に有利、と云う話は聞いた事がありません。
 比較的簡単にトラフィックが望める、と云う点においては認めますが、これは潜在ユーザーが多い、と云う事でしかなく、これはアダルト系ブログにも該当します。


 何故、今回この記事を書くに至ったのか、と申しますと、参照したブログ著者を批判する為ではなく、SEOと云う語彙そのものが、その認知度の割に、意外と内容を理解している方が少ないのでは、と思ったからです。

 参照ブログのはてブとツイッターのユーザーに、該当記事の理由に納得している方が多い上、中にはこの様な意見もありました。

「SEO担当者は羨ましいんだろうなぁ。わざとじゃないのに、理にかなった?行動をしてんだもの。」

 恐らくですが、まともなSEO業者やSEO専門家は、誰一人として羨ましいとは思っていない筈です。
 SEO対策とは、仕掛けるものであって、結果的なものではなく、もし、既に結果が満足行くものであっても、更に対策を講じれば、より成果を上げる事が出来得る可能性を模索する事にこそあります。
 また、SEO的に云うのであれば、ミラーコンテンツに対する検索エンジンのアルゴリズムが下す評価が高い筈もなく、もし、2chコピペブログがSEO的に有利であるとすれば、オリジナルとなる2ちゃんねるの元記事よりも上位に表示されていなければならず、仮に上位表示されたとしても、それは即時性や話題性等からなる一過性の結果に過ぎません。

 SEO対策とは、魚影の濃いであろう箇所に網を投じる大海での漁法であり、2chコピペブログのコンセプトは、魚体数の多い釣り堀で疑似餌を投じる所作なのです。
 そもそも、別ものです。

 既存ユーザーに対するアプローチ、と云うものは、ターゲット決めに該当し、2chコピペブログだけではなく、例えば、特定ゲームや特定サービス、特定情報等、潜在顧客がいるであろう事を想定してプランニングがなされます。
 そして、SEOを含むSEMやそれ以外のWebマーケティング各種は、ターゲットとなる潜在顧客へ認知・誘導を促す為の技術や手法を指し、これは一元的に計画すべき内容ではあるものの、同じ視点から語られるものではなく、況して、結果的に上手く行けば良い、と云うものではありません。
 何故なら、仮説や実証、具体的な手法や仕掛けなく、結果のみから考察してしまえば、再度、別サイトや別サービスを展開した時、運頼みになってしまう為です。

 端的に云って、2chコピペブログの元記事に等しい良質なオリジナル・コンテンツを携えたブログがあった場合、何れがSEO的に優位かと云えば、明らかに後者である、と云えます。
 これは、あくまでも、双方のブログのポテンシャルが等しい場合に限られる為、理想値でしかありませんが、少なくとも各種検索エンジンの現行アルゴリズムにおいては、オリジナルの方がSEO的には遙かに強いのです。


 「検索エンジンからの総アクセス数が多い=SEO的に強い」訳ではありません。

 冒頭で述べた、2chコピペブログがSEO対策の手本にならない理由は、そもそもコンテンツが異なり、ターゲットが異なり、ポジショニングが異なり、ユーザーが異なる等、全く趣旨が異なる上、別段、2chコピペブログがSEO的に有利とは云えないからです。

 他のオンラインショップでも取り扱っている商品を販売するECサイトがSEO対策をする場合、2chコピペブログの強さとやらを踏襲する事が出来ますか?
 どこにでもある様な企業のコーポレートサイトのSEO対策に、2chまとめブログの手法を転用出来ると思いますか?
 クリエイターがセルププロモーション用に活用しているブログに、その強味を活かせますか?

 少し考えれば誰でも分かる事だと思います。

 釣り記事を書くのは自由ですし、それに尤もらしい理由を添えてリアリティを演出する事も自由です。
 これは、著者の文才のなせる技ですから、寧ろ、書き手は褒められるべきです。

 しかし、その情報を読み取り、それが本当に正しいかどうか、1度、考えてみては如何でしょうか?
 表層だけ、斜め読みしてしまうと、いらぬ偏見を抱いてしまいます。
 マス・コミのフィルタリングを通して、断片的な情報のみで推測するのは困難ですが、インターネットであれば、比較的自由に情報を収集する事が出来ます。

 是非、皆さん、もう1度、SEO対策と云うものをお調べになってみては如何でしょうか?
 素晴らしい記事をエントリーなされている専門家もおりますので、検索してみて下さい。
 間違っても、SEOまとめブログ、みたいな処には行かないで下さいね。


 と云う訳で、アリーヴェデルチ♪


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posted by EINS at 22:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | HP観察記 | この記事をはてなブックマークに登録 | この記事をYahoo!ブックマークに登録 | この記事をBuzzurlに登録 | この記事をニフティクリップに登録 | この記事をlivedoorクリップに登録 | この記事をdel.icio.usに登録 | トピックイットに投稿する
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