2010年05月08日

ライブ動画配信におけるリアルタイム性の盲点:映像マーケティング

 いつか書かなければならないと思っていたのですが、ソフトバンクグループによりUstreamも先月27日に日本語化され、GWも終わったと云う事で少しだけ映像マーケティングについて記述して行きたいと思います。

 映像マーケティング、と一言で云ってしまうと、かなり安っぽい印象になってしまいますが、今回、ここで取り上げるのは、今、流行っている「ライブ動画配信」に関してです。

 既存の映像マーケティング分野では、映像制作を主とし、動画そのものの魅力について語られるケースが殆どで、集客法はDAO(Digital Asset Optimization:デジタルアセット最適化)やYoutube SEOによる誘導が主であったと思います。
 しかし、これらは動画共有サイトを介したした手法であり、ライブ動画配信において、そのまま使う事は出来ません。

 残念ながら、ライブ動画配信におけるマーケティングの核心部分や具体例は、現在、弊社が実際にコンサルティングで提供している為、その全てを開示する事は出来ませんが、ライブ動画配信における盲点とヒントになる幾つかの要点を挙げて行きますので、是非、ご一読下さい。



 弊社では創業当初(2006年初頭)から動画を取り扱っておりました。
 インターネット上、より正確には、サイト上に映像コンテンツを配置し、テキストや画像とは異なったアプローチでユーザーに訴えかける、と云う映像コンテンツそのものの魅力を説いて来ました。

 しかし、インターネットの動きと云うものは、大変早いもので、同年秋にはGoogleがYoutubeを買収、同年末にはニコニコ動画(仮)がオープンする等、国内外で動画共有サイトが勢いを増す事で、映像そのものが持つ魅力、と云うものが、より一般的になる事で、動画である事が武器になる時代は終焉を迎え、如何に動画を活かすか、に焦点が移ります。
 また、動画共有サイトでは、その動画の再生数が表示されますから、ユーザーのアクション数がダイレクトに分かる訳です。
 つまり、如何に動画を多くのユーザーに見て貰うか、が問われる事になる訳です。

 海外では比較的早くからDAOについての言及があり、検索結果からの集客に特化する手法が知られ、映像だけではなく、画像やニュースと共に最適化されています。

 但し、これは保存された動画に限っての話です。
 残念ながら、ライブ映像に対して、そのまま転用する事は出来ません。

ライブ映像そのものには転用出来ませんが、別アプローチで転用可能です。その手法については、改めて記事に致します。

 ライブビデオストリーミングと云うサービスそのものは、別に真新し技術でも何でもありません。
 アダルト業界では以前から使われていましたし、定点Webカメラから観測、乃至は、監視の為に活用されていました。

 Ustreamがこれを一般向けに提供し始めたのが2007年3月の事で、僅かに遅れてJustin.tvも設立されています。
 国内でもStickamが2006年からサービスを開始し、2008年末にはニコニコ生放送が一般ユーザー向けに開放されています。

 ライブ動画配信サービスと云うものが、比較的以前からあったにも関わらず、何故、今年になって急速に注目され始めたかた云うと、これは偏に「リアルタイム性」と云うキーワードに他なりません。

 昨年夏に注目され始めたサービスにTwitterがあります。
 Twitterそのものも2006年7月から開始されており、2008年の春には日本語化されていましたが、流行始める迄にはタイムラグがあります。
 Twitterは注目され始めてから順調にユーザーを増やし、今年の1月1日に第93代内閣総理大臣、鳩山由紀夫首相が公式として使い始めると急速にユーザー数が膨れ上がります。
 ユーザー数の激増によって各メディアが取り上げ、その特徴とも云えるリアルタイム性に焦点が当てられます。
 また、スマートフォンのリリースも相次ぎ、時期的にも恵まれます。

 このリアルタイム性に注目された事とインフラの浸透性とが相俟って、ライブ動画配信にも注目が集まり、急速にユーザー数が伸びているのです。


 前置きが大分長くなってしまいましたが、映像マーケティングにおいてライブ動画配信には、逃れ様のない落とし穴があります。

 それが正に、リアルタイム性、にあります。
 リアルタイム性とは、時間の共有に他なりません。
 どう云う事かと云うと、配信者と視聴者は共に時間を映像コンテンツに消費し、これを共有しない限り、情報を伝えられない事を意味します。

 保存した動画と異なり、配信者も視聴者も同時刻にオンし、共にインターフェイスを前にする必要性がある訳です。
 これは必然的に限りあるユーザー(視聴者)を奪い合う形になり、新たなマーケティングが必要不可欠になります。
 即ち、視聴者の獲得、に纏わる手法です。

 ともすれば、テレビの視聴率争いの様に、視聴者獲得に躍起になる必要があり、映像そのものでマネタイズする業種でもない限り、本末転倒になってしまいます。
 このジレンマに陥る可能性がありますから、ライブ動画配信をマーケティングとして活用する為には、周到な準備や明瞭な企画、若しくは、根気が必要になります(根気に関してはブランディングですが)。

 もう1つ注意すべき点があります。

 所謂、Ustreamとニコニコ生放送、どちらが良いか等と云う論争です。
 しかし、これはナンセンスです。
 ユーザー層も然る事ながら、その最大の違いはインタラクティブ性にあります。

 Ustreamの場合、チャットでインタラクティブ性を活かす事は可能ですが、主となるのはSocial Streamとなりますから、Twitterによる映像の拡散力を期待する事が出来るものの、どちらかと云うと形成済みの番組、即ち、放送内容を予め整え、作り込む必要があります(TwitCastingや車載放送等、特定箇所の映像の垂れ流しにはそのまま使えますが)。
 放送内容を録画可能ですからアーカイブに残す事が出来ます。しかし、残す事が出来るのは、動画のみ、となります。

 ニコニコ生放送の場合、視聴にもユーザー登録が必要になりますからクローズド環境となります。従って、映像そのもののPR力に欠け、アカウント保持者にしか視聴出来ない構造になっています。
 但し、コメント機能のリアルタイム性が強固な為、インタラクティブ性に特化する事ができ、所謂、対話型の放送が可能となります。
 高度な双方向性を確保する事で視聴者の意見を直接聞く事が出来るので臨機応変な対応が可能である為、番組そのものを形成しておく必要性が薄らぎます。
 タイムシフトは限定期間内視聴が可能と云う事から、ライブ動画そのもののプレミアム感は担保されます。

 上記の違いが何を意味するかと云うと、インタラクティブ性を無視するのであればUstreamが向いており、インタラクティブ性を重視するのであればニコニコ生放送が向いている訳です。

 簡単に云えば、Ustreamの場合、インタラクティブ性が不要ですから、演奏や中継、製作、プレゼン、紹介等、従来型の動画保存と同じニュアンスで番組作りが可能と云う事になり、ライブ動画ですから本番一発撮りの様な形になります。
 ニコニコ生放送の場合、よりインタラクティブ性を活かす事が出来ますから、相談や質疑応答、意識共有、距離の無効化、対話等、電話やSkypeの様な双方向性によって番組作りをするので、よりリアルタイム性に特化している事を意味します。

 この事から、既存の映像マーケティングを活用している法人やブランディングに活用している方はUstreamがマッチし、臨機応変、且つ、よりコミュニケーションを大事にするのであればニコニコ生放送の方がマッチする事が云えます。
 要は、使い分けが可能、と云う事です。

 但し、先述の通り、インタラクティブ性を不要と切り捨てた映像の場合、その意味合いは保存された動画再生とほぼ同義となる為、ライブ動画配信としての意味合いは薄くなります。
 生放送をそのままアーカイブ用動画として残すのは、映像制作において時間短縮にはなりますが、編集を伴わない為、動画として、或いは、番組としてのクオリティは録画に劣りますから微妙と云えます。

 既に充分なブランディングを構築済みである場合、または、第三者の意見が不要である場合、インタラクティブ性は無用かも知れません。
 しかし、この場合、リアルタイム性の必要性は、ファン心理以外の何物でもない為、より大きなブランド力を有する放送者と時間的に被った場合、意味を失います。
 保存されたライブ映像は、音楽に例えるならば、そのままライブ盤となりますからコアファン向けのものとなります。

 では、これが小規模な一般業種にマッチするのかと云うと、なかなか厳しいものがあります。
 寧ろ、双方向性が問われ、対話形式によるコミュニケーション力が武器になります。

 この辺りを間違えてしまうと、コンシューマ処か視聴ユーザーさえもままならなくなり、全くプロモーションの役には立たなくなってしまいます。


 ライブ動画配信は益々、そのユーザーが増える事が予想されます。
 しかし、そのユーザー数の底上げは、視聴ユーザーの数を増やす事以上に映像配信ユーザーを増やす事に繋がり、ライブ動画と云うコンテンツの特性上、視聴者の過疎化を意味します。
 これは、ブログの隆盛にも似ており、ブログの書き手の爆発的な上昇に比較し、ブログ読者数はほぼ一定の為、拡散してしまう事に似ています。

 結果、視聴者のいないライブ配信が増え、PR効果が乏しい為、配信を止めてしまう事が容易に想像がつき、放送に費やした、つまり、ライブ動画放送時間に消費した時間を無駄にしてしまう事を意味します。

 以前、「国内初の屋外ポスター街頭貼りマーケティングについて」と云う記事を書きましたが、実は映像と云うものとポスターと云うものは似ており、本来、第三者に開示する事が目的であるにも関わらず、制作を完了した時点で満足してしまう、と云う勘違いが存在しています。
 特に映像の場合、テレビと同じ様な作りでは、当然の事ながらテレビには及ばず、特にライブではユーザーを取り合いますから意味を成しません。

 小規模法人、或いは、これからセルフプロデュースに利用しよう、と考えている方は気を付けましょう。
 ライブ動画配信の攻略法は、インタラクティブ性です。
 リアルタイム性だと思い込んでしまうと、あっと云う間に覆されてしまいます。

 より意味のある映像マーケティングを模索中の方は是非、弊社に迄、お問い合わせ下さい。


 それでは、アリーヴェデルチ♪


posted by EINS at 18:17 | Comment(2) | TrackBack(0) | HP観察記 | この記事をはてなブックマークに登録 | この記事をYahoo!ブックマークに登録 | この記事をBuzzurlに登録 | この記事をニフティクリップに登録 | この記事をlivedoorクリップに登録 | この記事をdel.icio.usに登録 | トピックイットに投稿する
この記事へのコメント
大変勉強になります!
私はNYのデジタルエージェンシー会社で働いており
ウェブサイト、インターネット、映像を使うマーケティングには興味があります。
今後も読ませて頂きます。

有難う御座います。
Posted by 青木 at 2010年07月02日 21:07
 ようこそ、いらっしゃいました。
 有り難いお言葉を頂戴して、こちらこそ有難う御座います。
 マーケティング周りを中心に、ちょこちょこと記事をアップして参りますので、これからも是非、宜しくお願い致しますm(_~_)m
Posted by 奇妙な社長 at 2010年07月05日 21:02
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