一昨日(6/11)のお話。
撮っておいたF1中継を、既に見ていたにも関わらず、
モニターで流しながら遅めの昼食を摂っていると、
スーツ姿の
痩身の男性が開け放たれた扉からこちらを覗く。
「…あの、よろしいですか?」
モニターから流れる場違いなブースト音とタチの悪そうに食事を頬張る先客を覗きつつ、気後れする事なく男は問い掛ける。
五十路を越えた頃の女店主は、ランチタイムが終わり、準備中である旨を告げに入り口に向かう。
男は、店主を見るや否や、自らの緊張感を打ち消すかの様に矢継ぎ早に切り出す。
「私はこの近くで
お仕事をさせて頂いております○○○と云う会社の○○と申します。地域の皆様に支えられたおかげで此処迄やって参りました。つきましては地域の皆様に感謝の意を込めて…」
セールスマンか…急速に興味を失いつつ、俺はモニターに映るフォーミュラカーに魅せられながら、食事を口に運ぶ。
「どんなご用件です?」と店主。
「はい、私達はこの地域のお店や会社様の為に
ホームページを制作して…」
!?…俺は僅かに息を潜め、男に視線を送る。
エゴイスティックなリズムで自らを語る男の語り口は早め。店主は僅かに疲れた表情を浮かべ、熱っぽく話す男には分からない程小さく溜息。
「ウチはいらないよ」
自らのテンポを台無しにされた男が俺に視線を移す。
「ウチ、
ホームページ屋なのよ。だから、いいって」
状況を把握出来ないでいる男。キャパの小さなダイニングバーで、ランチタイム終わりに居座るチンピラの様な恰好の俺の科白に、思考回路がついて行かない様子。
一瞬の判断に迷った男は、実に陳腐な反応を見せる。そう、聞かなかった態。
「…当社ではSEO対策を得意としておりまして、
Yahooや
Googleでの検索結果で…」
「
いや、いいって!俺、ホームページ屋なのよ。お宅に頼む事はないって」
俺の言に、否、そもそも俺には興味もくれず、男は先にも増して口調を早め、名刺とプリントアウトした
キャンペーン刷りのコピーを一枚残し、立ち去った。静かに、しかし、足早に。
心地よい程鈍い男の感覚に軽い目眩を覚えた、暮れるにはまだ早い、そんな昼下がりの、奇妙な出来事…
怒濤の後編はこちら!⇒ Go!!!!
posted by EINS at 00:13
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